第3話「出会いと再会のインターミッション」


16時3分52秒
研究基地に着いたあとワイズは部屋の番号を渡された。
「はいこれ」
「これは?」
「貴方がこれから住む部屋の番号よ。」
飛行場から見える宿舎を指刺しながら言う。
「あ〜了解了解」紙を受け取ると改めて噛み締めた。
「そうだよな...俺軍に入ったんだ...」
小声で言う「何か言った?」
「なんのことっス?」
ごまかしてみる。
「まぁいいけど。取りあえず部屋で待機しててね」
「イエっサ先生殿!」
「き、教官でしょ!教官!あと返事は一回で宜しいっ!」
何故か焦りつつ訂正。
「はいはい」
と笑顔。
「だぁから!」
とミシェー続ける前にワイズはいつの間にか先生の前から消えていた。
「...暗いよりはマシか...」
とミシェーが暗く言った

16時8分07秒
「二階のB-2か...地下と間違えちまいそうだなぁ」
エレベーターの中で独り言を言う。 「てか二階なら階段で良かったかな」
エレベーターのドアが開き通路に出る。
「B-1の標札がここか、てことはと...」
標札の名前を確認せずに視線を横へとずらすが...。
「なんか...一つの部屋結構広い?」
テレビや映画で見た兵士の部屋を想像していたからか、かなり狭いと思っていたらしい。やっと、と言うほど歩いていないが自分の部屋の標札の前に着く。
「...なんか嫌だなぁ...変にだだっぴろそう」
パシュッとドアが開き中に入る。
「広!...一人で住む部屋かよ」
2LDKの部屋、明らかに1家族が普通に暮らせる広さである。
「待てよ...」
廊下に頭を出し各部屋の入口を確認するとその数3 。
「...一つの階部屋3つでうまってんのね」
この宿舎は一つの階三つの部屋でそれが五階つまり15部屋で構成されている。地下を合わせなければの話だが部屋に入ると一直線にベッドに向かい倒れこむ。
「つ、疲れた.........スー」
落ち着いたら考えようと思っていたことが頭から全て消え、ワイズは深い眠りに着いた。


19時5分00秒
ピンポーンワイズの部屋のベルが鳴る。
「ん?...」
ベルで目を覚まし体を起き上げ携帯の時計に目をやる。
「7時?...3時間寝てた!?」
電気を付けていないので部屋が暗い。
ピーンポーン
「あああ、はいはいはいはい」
電気を付けるパネルを探しつつ返事をする。
電気を付けると部屋が明るくなる。
ピンポンピンポンピーンポーン
焦らすようにベルを鳴らし続ける誰か。
「はいはいはーい!」
インターフォンの画面を確認せずドアを開ける。
パシュッ
「!?」
今まさに何度目かのベルを押そうとする女の子がドアの前に居た。
「あり?先生じゃ無い...」
すっかりベルの主がミシェー教官だと思っていたワイズは知らない女の子が目の前に居て固まる。しばし沈黙。
「え〜と?」
先に切り出したのはワイズだった。
「はっ!あっあたしは隣に住ましてもらってるサナシス・フロイデラウンドって言うんだけど」
「お隣さん?ご丁寧にどうもありがとう!俺ワイズ・スカイフレン、よろしうに」
顔を赤くして挨拶を交わす、もともと色白なので赤くなるとすぐ解る。
「...風邪?顔赤いよ?」
「いやっ!その..あんまり女の人と面とむかって会話したこと無かったから」
いわゆる赤面症。
「ぷっ、そうなんだ〜。あ、とりあえず中入れてくれない?立ち話もなんだし。ってこのセリフあたしじゃなくて貴方が言うのよ?普通は」
拗ねたように言う。
「わわわ!...立ち話もなんですから、部屋の中へどうぞ。ってこんなもんすか?」
「最後のはいらないけど。まっ、いいでしょう!」
まるで幼なじみのようにからかい合う二人。
「何もないのね〜。あっ、今日きたんだっけか?ワイズ君」
あたりを見ながら言う。
「ええ、そうです」
所在無さげに部屋をうろつくワイズ。
「そこの机の上に端末あるでしょ?それに最低厳必要な物打ちこんで、係の人に送信すれば運んできてくれるわよ」
丁寧に説明してくれるサナシス。
「おー!早速やるかな
」 椅子にすわり端末の電源を入れる。
「多少の娯楽用品OKみたいよ...それでさ...チョット頼みがあるんだけど」
いつの間にか椅子の横に来ていたサナシスが小声でいう。
「 俺に出来ることで犯罪じゃなければ喜んで」
笑顔のワイズ。
「犯罪な訳ないじゃない!ただアーケードのバーチャロン頼んでみてほしいなぁってね」
「おやすい御用!って自分で頼まなかったの?忘れてた?」

と言うか届けてくれるのか?部屋に・・・
「違うわよ...女の子の部屋に...そんなの置けないじゃ無い...」
赤くなりながら言う。
「なぁる!判りました!...ところでなんで俺の部屋をわざわざたずねてきたんすか?」
手で文字を打ち続けなから聞く。
「隣に来た人が挨拶に来ないからよ!あと変態とかだったらヤダしね。確認!ってことかな」
玄関で靴を履きながら言う「う...そりゃすんません」申し訳ないように頭を下げる。
「はははっ。いいのいいの〜、いい人みたいだし」
最後だけ小さく言う。
「え、何?」
最後だけ聞き取れなかったので、顔を向けサナシスの方を見ると、彼女はドアからすでに頭だけを覗かせていた。
「なっ何でもないよ!あ、あと家から持って来て貰いたいものも同様ね、御飯は地下一階に食堂があるからそこでね、時間は5時から11時までだよ〜!詳しくは端末の横にあるマニュアル等を見てね〜!じゃー!」
パシュッ!
「はやっ...お礼いってねぇぜ俺...」
しばし膠着端末に目をやると。
<メールボックス>
を見つける。

19時45分59秒
<B-1サナシスの部屋>
「ヤダ...あたし顔赤いよ...」
机の鏡に映った自分の顔をみつつ言う不意に端末にメールが届く。
「誰から..ワイズ?!゛いろいろありがとう!これからもよろしく!゛...」
ボッ
「熱でもあるのかな...お風呂入って寝よう」

20時03分27秒
<ワイズの部屋>
「ふぃ〜〜終わった〜」
端末で登録やらなにやら済ましたワイズは又ベットに寝そべっていた。
「とりあえずこれで俺は...第8プラントの兵士に成った訳だ」
天上をあおぎ言う、が
「...ハラ...減りすぎた!」
ガバッと起き上がると足早に地下一階の食堂に向かった。

20時28分27秒
「うまかったなぁ食堂の御飯」
階段で二階に着く。
「ん?」B-3(部屋番号)の入口前にダンボールが山積みに置いてある{B-3にも誰かいたのかな?...挨拶しとくか}自分の部屋を通り。
越しB-3の入口のドアが開く。
パシュッ
「...えっと次はこれを」
出て来てすぐにダンボールを持とうとする女の子。ワイズには気づいて無いようだ。
「よっと...!?あわわわわ」
バランスを崩し倒れかける女の子。
「危なっ!」
ワイズは叫ぶと同時に駆け出す。
「あ...!」
後ろから倒れそうになる女の子をワイズは肩に手を置き倒れるのを支える。
「間一髪...かな?だいじょぶ?」
「は、はい!大丈夫です!」
そう言うとこちらに振り返り頭を何回も下げながら言う。
「あ、ありがとうございました!助けていたいただいて」
「いや、気にしないでいいっすよ」
笑顔で返す、するとワイズの顔を見てポ〜〜っとしている。
「...あの〜?」
初対面の女の子にじっと顔を見られてワイズは赤くなる。
「...お〜い?」
女の子の顔の前で手をひらひらさせる、するとボッ女の子の顔は真っ赤になり手に持ったダンボールを離してしまう。
「わわわわわ?!」
とっさにダンボールを掴むワイズ、女の子はと言うと。
「...ハッ!あわわわわす、すみません!すみません!」
また頭を何回も下げる。
「いいから!いいから!それよりサ、手伝だうかい?大変そうだし」
とワイズ。
「い、いえ!そんな!初対面のお人にそこまで迷惑はっ!」
焦りつつ断る、が
「俺今日隣に入ったワイズ・スカイフレンって言うんだ」
「え?あ...私も今日ここに入りましたルミナ・アミシーと言います」
「今日?じゃあおんなじだね。何はともあれ、これで知り合いだね」
ニッと笑う。
「あ...」
ルミナの表情が明るくなる。

21時39分21秒
「こいつで...ラストっと」
最後のダンボールをルミナの部屋の隅に置くワイズ。
「本当にありがとうございます!はいレモンティー」
「お!ありがとさん!...うまいね!」
「いいえ、こちらこそありがとうございました!」
ルミナはワイズに。
「運ぶのは俺やるから君は休んでて」
と言われて。
「お礼に紅茶でも」
と言っていたのだ。
「さてと...ごちそうさま!」
ティーカップを机の上に置くと出口に向かうワイズ。
「もう行ってしまうのですか?」
端末に電源を入れた格好でワイズを見る。
「時間、こんな時間に女の子の部屋に何時までも居られ無いよ」
時間は既に夜9時45分になろうとしていた。
「あっ、そうですね」
時計を見て納得したルミナだった。
「端末やら何やらの操作方法は横にあるマニュアルで確認するといいよ」
かがみ、靴紐を結びながら言う。
「何から何までありがとうございます」
気づくとルミナはワイズの後ろに来ていた。
「いや俺も教えられたことだし。あ、食堂は朝5時から夜11時らしいから」
出口から体半分をルミナに向けながらまた言う。
ポ〜〜
「あ、は、はい!」
またポ〜〜っとしてたらしい。
「顔赤いし風邪かい?無理しないようにね!じゃ、おやすみ!」
  パシュッ
「は、はい!...もう閉まってたのね」
そう言うとその場に座りこんでしまう。
「私変...何故顔赤いの?...風邪かな本当に...」

21時58分06秒
<ワイズの部屋>
ワイズは部屋に帰ると悔やんでいた 「...俺こんなキャラかぁ?あ〜〜調子変だ...」
典型的な独り言。
「風呂入って寝よ...VRのマニュアルでも読みながら寝るか・・・眠れるか解らんし...本読みながらだと早く寝れるらしいし」
妙に説明口調のワイズはそのままバスルームへ向かった。

それぞれの思いを秘め夜は明けた。

朝6時37分
候補生達は研究基地のVRハンガー朝6時に召集をかけられいろいろな説明等を受けた。が、ワイズは居眠りをしていて聞いていなかったらしい。やはり昨晩寝れなかったようだ。候補生達は一人一機ずつ機体を与えられ、今日はその機体とメカニックとの初顔合わせだった。
「ふわぁ...くぅ〜寝みぃ」
渡された機体のデータを見つつ自分の機体を探すワイズ不意にスパナが正面から飛んで来る。
パシッ
なんとか掴むワイズ。
「あっぶネェなぁ!誰だ投げたの!って...え?」
見慣れた野球帽を被った男の子が目に入る。
「クイマ?...クイマか!?」
「相変わらずの反射神経だなワイズ!」
ニカッと笑うダチ。
「てめぇ!生きて...生きてたんだな!」
ダッシュで後ろに周り首を浅く絞める。
「あたぼー!死んでたまるかよ!お前こそよく生きてたなオイ!」
笑い合う二人の男子。
「そうだ!他の奴知らないか?」
急に口調を変えるワイズ、しかし腕はクイマに掛けたまま。
「タイウ、ウミ、ゼロスか?悪いが俺も知らない...」
暗くなるクイマの口調、だが。
「俺が生きてたんだ。奴らが死ぬ筈が無い!」 どこから湧いてくるのか自信たっぷりで言うクイマ。
「なんかよくわかんねぇがそうかもしんねぇな!」
また急に今度は明るくなるワイズ「しかしなんでクイマがここに?」
浮かぶ疑問、しかしクイマ即答した。
「いつもどうり部長って呼べよ。俺はお前より前にスカウトされてたのさ、メカニック部門にな。」
「何時ここに?」
「あの事故直後さ、瓦礫に塗れてたらしいんだが何故か無傷でね」
いつの間にかワイズから機体データを引ったくり見るクイマ。
「だったら俺がここに来たことは知ってたのか?」
「部門が違うからな、今お前見たのが初めて[知った]ってことになるな」
「じゃあ先生のことは?」
「先生?」
「知らんのか、まぁあとで解るだろうけど」
「わけわからんなぁ、それよりワイズ」
「何?部長」
いつもの口調のワイズ
「お前の機体、俺がチーフだ」
クイッとあるVRを指差す 。
「テムジンのカスタム機なのか?」
「まぁそんなとこだな、なんでも市街地でドンパチやったテムジンを10/80だかって機体で修理改修強化してる最中だ」
「!?...てことは、よぉ!また会ったな」
「?」
ワイズは左腕の無い修理改修強化中のテムジンに、笑みを投げた 心無しか、テムジンのカメラ・アイが返事の様に光ったような気がした。


第3話「出会いと再会のインターミッション」 終