第11話「クリスマス・パーティ」 後編


「ブレスレット…」
リング状のブレスレットを手で持ち上げて言う秋草
「右につけてるみたいですから左にもどうかなって」
秋草が右手首にブレスレットをつけていたことを覚えていたワイズは、対になるようにブレスレットを選んだのだった
「どうです?」
秋草が反応をしてくれないので不安になって聞くワイズ
「あ、ああすまない」
秋草がはっとして返事をする
「(…私は…)」
ブレスレットを左手に通してワイズに見せる
「このとうりだ」
そう言って笑顔を見せる秋草
「よかった気に入ってもらえたみたいで」
ワイズも安堵と笑顔を返す
「うん!」
秋草がとても明るく返事をした



<研究基地指令塔>

カタカタ
ミシェーの指が叩くキーボードの音が響く指令塔の指令室
「(なんでプロテクトが起動してるの?)」
原因を究明しようと随分前からここに居るミシェーなのだが、何故か基地のセンサーやらなにやらにプロテクトがかかっていて作業は進んでいなかった
「やっと解除できた…!?」
不意にキーを叩く音が止まる
「ジャミング…いったいどこから…」
基地センサー画面が砂嵐にかすむ
パシュッ
「!」
ドアが開く音に反応してミシェーが振り向くとそこには銃口があった



<地下ハンガー(今はパーティ会場)に続く階段>

「流石に外に居すぎたかな…」
「同感だ…」
ワイズと秋草が寒そうに階段を下る
「さっさとハンガー行ってあったかい物でも食べましょう」
ワイズが秋草に振り返りながら言う
「うん…」
秋草の表情が暗くなる
「どうかしました?」
ワイズが心配そうに言う
「いや…」
横に顔を振る秋草
「そすか?ならいいけど」
下に向き直ってまた降り始めるワイズ
「あ…」
秋草が手をだしてかけようとする
「なんすか?」
それを察してかは解らないがワイズがまた今度は首からだけ振り向く
「あの…ね…」
秋草が何かを話そうとした時
「まだいたぞっ!」
見慣れない服を来た兵士らしき人物がアサルトライフルを持って、3人ワイズ達の前に出てくる
「はい!?」
ワイズが一段引く(上がる)
「くっ…」
秋草は身構える
「手足を狙え!」
タタタタタッ
有無を言わず発砲してくる兵士
「あぶねぇ!」
ワイズがサイドステップで銃撃を避わす
「(敵襲にでもあったってのかよ!)」
蒼空を鞘走りさせ
タンッ
跳躍、そして一番前に居た兵士の後ろに着地し
バキッ
「ぐあっ」
ミネ打ち。それで一人目がダウンする
「ガキがあ!」
「ヤロウッ!」
残り二人が銃口をワイズに向けた瞬間
「ハアッ!」
ワイズがその二人の間を駆ける
コンマ数秒後に二人の兵士は意識を失い、床に倒れた
「…ふうッ」
そう息を吐くと蒼空を鞘にしまう
「私が手を出す間すらなかったな」
秋草が下りてくる
「生きてるのか?」
「殺してませんて、それよりもこいつらは…」
兵士をしゃがんで見る
「何者なんだ?」
「解らん…」
そう言う秋草の表情が曇る
「なにか肩に…マークかこれ?RNA…?」
兵士の肩についている刺繍かなにかをワイズが見て言う
「ん…?」
ワイズが立ち上がる
「どうした?」
「まだいたぞって言ってましたよね…そいつ」
ワイズが最初に倒した奴を指さす
「…ああ」
秋草はワイズが何を言わんとしたかすぐさま理解した
「みんなは!?」



<地下パーティ会場>

「手こずらせやがって」

カリジスが吐き捨てるように言う
見ると周りには先ほどワイズが倒した兵士と同じ奴等がかなりの数で倒れている
「下手な軍人より強いな、てめぇらは」
カリジスが腕を手錠(電子ロック式)で拘束したゼロ達をにらみつける
「数人駄目にしやがって」
見ると兵士数人青タンやら切り傷やらで負傷している
「いろいろやっているんでな」
ゼロがニヤリと笑いにら見返す
この言葉が表すとうり兵士たちの負傷はゼロ達の反撃の証だった
「フン」
チャキ
「その口、二度と叩けなくしてやろうか」
カリジスがゼロにリボヴォバーを片手で構える
「できるならやってみろ、代償を払う気があるならな」
手錠をつけたままゼロが身構える
「いきがってんじゃねぇぞ!」
リヴォルバーのトリガーが引かれそうになった時
「やめなさいカリジス」
紫髪の男が止める
「…目標以外なら殺していいんじゃないのか?ストラグル特尉」
「上の命令ではね…だが指示を出すのは私だ」
朱の目で言うストラグル
「チッ…わかったよ」
リヴォルバーを下ろすカリジス
「特尉」
クェウが話かける
「何か?」
「ミシェーを追っていた部隊からロスト(見失った)したとの連絡が入りました」
「これはあの人一人でどうこうできるレベルの事ではないでしょう」
クェウの方を振り向かず言うストラグル
「では?」
「捨て置け」
「了解しました…続けて一つ、目標を散策していた部隊が三つ…連絡が途絶えました」
そして連絡をとたえさせたのは目標らしいと付け加えた
「それはそれは…」
それを聞くと冷笑するストラグル
「あんた達!」
サナシスが大声
「いったい何が目的なのよ!」
と叫び聞く
「いずれ解りますよ」
と言い、また冷笑するストラグル
「ならあなた達は何者なんですの?」
と冬花
「それもいずれ…ね」
そう言うとストラグルは一歩前へ歩み出る
「さてみなさん」
そしてこう言った
「どうやら一人無謀にもみなさんを助けにくる人が居るようですよ」

そうストラグルが言う中キョロキョロと周りを見るルミナ
「ルミナはん?どうしたん」
夏樹が小声で聞く
「ワイズさんがさっきから見当たらないんですよ」
とルミナ
「そいやバトルの時も居なかったな」
バトルとは兵士との戦闘のことだ
「秋草さんも見ないんですが…」
「そういえばそうやな」
はたと思う夏樹
「もしかしてストラグルが言ってる『奴』って…ワイズはんか秋草はんのこととちゃうかな?」
考えこむように言う
「えっ?」
ルミナが少し固まる
「むしろワイズはんかな?そんな無謀なことをするとしたら」
「なんでそう思うんですか?」
ルミナがまるで自分が馬鹿にされたかねようにふくれる
「秋草はんは忍者らしいからするならもっと穏便にすると思うんよ」
ルミナの反応に苦笑いしながら言う
「ワイズはんの場合仲間のことで頭に血ィ上ると何するか解らないんとちゃうか?」
「そんなこと無いですよぅ…」
ルミナが控えめに鳴く
「まぁそんなところがいいと思うんやけど…」
聞こえないほどの小声で夏樹が言う
「?」
「なーんにも」
ごまかす夏樹だった
「ワイズさん…」
ルミナがつぶやいた

第11話 「クリスマス・パーティ」後編 終