First Contact


ギャランゾのミサイルがオレの顔に直撃する
「チッ」
だがオレ自身にダメージは少ない
ただ
「壊れたか」
ヒューキャストを装う為の頭部装甲が全壊した
「また発注か」
オレの頭部装甲は特注品だ
ヒューキャストを装う為に色々な機能を積んでいた上、正規ルートじゃ手に入らない
そういう訳で額も馬鹿にならない
そんな事を気にしながら爆風の中を突っ切り
「裂けろ」
銀色のザンバでギャランゾを横に分断する
「…クソメンドクセぇ」
素顔のまま探索するのは好ましく無い
そう判断したオレは進行方向をトランスポーターの方へ向けようとした

「ん?」
坑道の壁
シャッターやドアでなく、ただの壁である場所に不自然な亀裂があった
「ミサイルでひびでも入ったか?」
そう言ってその亀裂に触れる
「…道があるのか」
亀裂から若干距離を取り、勢いを付けて銀色のザンバで亀裂を完全に破壊する
「正規ルートで無いルートの更に外れ…」
一歩、その道に入り思考が迷う
二度目だが素顔のまま探索するのは好ましく無い
好ましくないのだが…
「…クソッ」
この道が気になって仕方が無いオレは自分の元になった奴を呪った



「研究施設のようだな」
道の一番奥
そこには何かの研究施設があった
「…」
その奥に行く度に嫌な事を思い出す
列ぶ巨大フラスコ
何かの培養液
笑う博士
それらを首を振って払い、別に思考を開始する
「メインの電源は落ちているようだが」
どうも真っ当な研究をしていたようには見えない
放棄されてかなりの時間が過ぎているようなのだが、そんな雰囲気が拭え無い
そんな事をサブの電源で動いているコントロールパネルに触れながら考えるオレ
「…?まだ生きてる部屋がある?」
このコントロールパネルのディスプレイから確認できる限り、サブの電源はその部屋の維持に回されていることが解る
「行ってみるか」
この時オレは興味でなく何かに惹かれるような感覚に囚われていた



「この部屋は…」
到着した部屋は全ての明かりが点いたままで、幾つものコントロールパネルと人一人が入れるサイズのカプセルが一つあった
オレはまずコントロールパネルに触れてメインデータバンクを漁る
「…やはり真っ当な研究をしていなかったようだな」
ここは『人間を触介にしたアンドロイドの生産』を研究していたらしい
しかしそれは人の死体を使うと言う死者を冒涜する内容故に計画は破棄、ここは放棄されたようだ
「早い話しがサイボーグもどきの生成か」
何処にでもこういう事をする奴がいるのだなと、奴が、オレが、生まれた理由を思い出しながらカプセルに視線を移す
「『クレスセント=001S』…君も犠牲者なんだな」
眠る少女に付けられたコードを言いながらオレは、カプセルに優しく触れた
その時
「なんだ?」
少し煩いアラート共にアナウンスが流れる
<コード音声入力確認、クレスセント=001Sの凍結を解除します>
アナウンスが鳴り終わると少女のカプセルが開き始める
その光景にオレはどう反応すれば良いのか解らず、ただただカプセルが開くのを凝視していだけだった
そして、彼女はカプセルから出てくる
ゆっくりと月の光りが地球に降るように
「…」
気付けばオレは間抜けな程に彼女を見ていた
その姿は、綺麗とか可憐とかそんな言葉を忘れる程に純粋だった
そんな彼女がオレの前に歩いて立ち、緩やかに表情を変えてこう言った
「私は貴方を護るために造られました。なんなりとご命令を、マスター」
「…へ?」



これがオレ、ゲシュペンストとクレスセント=001Sとの出会いだった