Story5 学校4階 セミファイト


ブ、ブーマ!?
待て待て待て待て待て!?
ここは俺の世界だよな?
あっちじゃ無いよな?
「イヤ…」
転校生?


私は思考が完全に混乱していました
イヤァァァァァ!?
気が完全に動転したのもありますがそれよりも、森での記憶が蘇ったのです
あのバートルに襲われた記憶が…


転校生!?
賢士が時乃を見た時、彼女は頭を抱え込んでその場に座りこんでいた
どうした!?オイッ!
近寄って肩を揺する賢士
「イヤ、イヤ、イヤ…」
気が動転しているらしく反応が返ってこない


「(どうする!?どうするよ!!?)」
俺もかなり混乱してる
そりゃそうだブーマなんてエネミーこっちの世界にゃ居ないんだから
!!
ヤバイ!
ブーマこっちに気付きやがった!
転校生は動転して座り込じまってるし…
「(俺が…俺がなんとかしないと!)」
転校生の左肩置いていた右手を離して俺の背負い鞄を降ろし、首を振って武器になる物を探す
「(掃除用具箱!)」
位置的に箒かモップかを調達してそのままブーマに仕掛けれる


「立てる?」
彼が優しい声で聞いてきますが私は首を横に降るしか出来ません
「じゃあ立てるようになったら逃げて、いいね?」
そう彼は言って左手も私の肩から離して立ち上がります
「俺が時間を稼ぐから」
「…


行くぞ!
喉から精一杯の声を搾り出して掃除用具箱まで走る賢士
「!!」
賢士の声に反応してブーマが賢士目掛けて動く


「(よし来いッ!)」
そう思いながら俺は掃除用具箱を開けて、モップ上の方を掴み磨く方(ヒダの部分)をブーマに向ける
そして
てあああああ!
気合いを込めてかなり素早く踏み込んで剣道の面打ちを繰り出すが、右横に交わされかすりもしない
「(速い…!)」
剣道部を退部した身だとしても、ただの高校2年生の身体能力じゃ追いつけないものなのか!?
このッ!
今度は右横にモップを振るうと人のこめかみあたりに命中はしたが
フゴオ!
痛く無いのかよ!?角だぞ!?モップの角!!
文句を言いつつブーマと位置を入れ換えるように右に移動した時、ブーマが右腕を振るった
危ッ…ってモップが!
ガードにモップを使ったから見事に二つに折られた
「(リーチのアドバンテージ失った!けどこれで!)」
目的どうりブーマの注意は俺に向いた
「(あとはどうにかしてこいつを!)」
ブーマが一歩前に出れば俺は三歩下がる
そうやって間合いを詰めさせ無いで下がり続ける俺
「(でもモップじゃ駄目だ…何か無いか何か!)」
手にあるのはモップを折られて尖っただけの短めの棒
だからあれこれ何かダメージを与えられる物を考えていたら視聴覚室のドアにぶつかる
「ピ、ピンチ?」
汗が頬を伝のが解る
でも感覚は冷えていた
ゴアッ!
ブーマの右腕が俺を仕留めようと迫る
ハッ!
咄嗟に右に飛んでブーマの攻撃をかわすと、視聴覚室のドアが破壊される
だがそれより俺は気になることがあった
「(ブーマの動きが見えるようになってきてる…)」
一撃目は自分なりに最速の攻撃だったのに外れた
二撃目は効果こそなかったが当たった
その後のガード、回避は殆ど見切れていた
そしてそれらに体も追い付いている
「(それでもダメージを与える手段が無いと!)」
そう考えながら俺は視聴覚室に逃げ込んだ


逃げろと言われたけれど
「私も…」
とても怖いけれど
「何かしないと…!」
私は震えながら、でもしっかりと立ち上がって彼とブーマが入っていった視聴覚室に向かいました


視聴覚室

「くッ…」
綺麗に並べてあったパイプ椅子も脚折り畳み机も、今は壊れたり横たわったりしている
まぁ俺が逃げたりぶつけたりしたからなんだけどね
フゴォォォ…
流石に何時もぶつけたりしたからかブーマの怒りは最高潮みたいだ
間合いはそれなりにあるけど俺の後ろはベランダだ、これ以上は下がれ無い
「ベランダ…」
そうか、この手があったか
「(あとは目くらましできる物がありゃ良いんだけど尖った棒じゃ…)」
はたと俺の目に各教室入口にある赤い物が止まる
「アレだ」
しかし俺の所からでは遠い
そう思った瞬間、人影が視聴覚室に入ってくる
転校生!?


私が視聴覚室に入った時、彼はブーマと対峙していました
転校生!
は、はい!?
消火器をブーマにかけろ!
「え?え?え?」
咄嗟の指示で混乱してしまいましたが
はやく!
は、はい!
彼の声は混乱も掻き消してくれました


転校生が消火器を放つとブーマは何が起きたか解らない状態になって、その場でもがく
「…そこだ」
白い煙の中俺は明らかに異質な視力を発揮し、ブーマの右目目掛けて
喰らえッ!
尖った棒を投げ刺した
フゴアアアアア!
刺さった向きからさっしたのか、ブーマがオレ目掛けて突っ込んでくる
「(来い!)」
オレはタイミングを合わせてブーマの腕を掴み、巴投げの要領でベランダへ投げ飛ばした
ブーマは自信の勢いとオレの投げの勢いで、ベランダの仕切りを見事にぶち破って4階から落ちた
そのすぐ後ブーマの落ちた地点をベランダから見ると
「うわ…」
赤い血だけがそこに広がっていた
「あ」
ここにいたらやばい
消火器の煙もでてるしすぐ先生くるぞ
そうとなれば!


けほっけほっ!
彼に言われた通りに消火器をまいた後何か音がしたけど…
なんだこれは!?
煙だらけで解らないけど誰か来た?
見つかったら…
転校生!
「え?」
逃げるぞ!
白い煙の中、私は彼に手を掴まれて校内から逃げ出しました