Story3 物理準備質 説教?


廊下に立たされた後

「おかえり〜」
授業が終わって昼休み、席に戻ってくる賢士に対して声をかける谷藤
「うっわせめて頭掃えよな賢士」
「うい〜…」
ちょうく塗れの頭を掃いながら自分の席に後ろ向きで座る賢士
「またPSOで夜更かしか?よくやるねぇ」
呆れたような面白そな声で言う谷藤
「いや昨日は過労で即寝した」
まだ眠いのか賢士の目は虚ろだ
「過労?バイトしてる訳でも無いのにか?」
疑問譜で返す谷藤
「いや…まぁなんつうか」
言葉を濁す賢士。その時
友空〜!時奈先生が物理準備室に来いだってよ〜
教室の前出入口から時奈の息がかかった生徒が賢士を呼ぶ
「うぃ〜〜〜…」
行きたくない気配をバリバリ漂わせながら席から立ち上がる賢士
「昼休み潰れたな、ざまねぇな」
軽く意地悪い表情で言う谷藤
「あ゛ーーー…」
そう言って歩きだす賢士の表情は死に魚だ
「説教中に寝るなよ〜」
賢士の背中に手を振って見送る谷藤
「ういうぃ〜」
全然気合いの無い返事をしながら廊下に出る
「物理準備室だっけ?」
時奈の使いに横を通り過ぎながら聞く賢士
「そうだよ」
笑いながら答える生徒
「さんきゅ」
お礼を言って廊下を走り出す賢士
「(体は痛くもなんともねぇんだがなぁ…)」
そんなことを思いながら頭を掻くのだった



物理準備室(別名:時奈の悪城)

「で?何で私の授業で睡眠を貧っていたのだ?」
うっわ時奈先生怖い…
見下されてる訳でも無いのにむちゃくちゃこぇぇ
「昨日は家に帰宅後重労働をさせられたからであります」
ああ!思わず嘘が口から出てしまった
「…それで?その重労働とは?」
うぐ!
やっぱしにわか嘘はダメすぎですか
「まさか…」
なんで回転式椅子から立つんですか?
つーか目が座りすぎて怖いですって!
他のオンラインゲームに手を出してたんじゃないだろうなッ!
人のワイシャツのエリがっちり掴んで言うことはそれですかいッ!
思わずカウンター発言してしまった
む!今は先生と生徒だぞ?」
別の意味で睨む時奈先生
だから怖ってば
「すいませんね、先生」
ここは素直に謝りますか
「それはそうと昨日はどうして来なかった?」
俺のエリから手を離し、椅子に座り直して言う時奈先生
「…授業中爆睡の理由じゃないんかい」
ボソリと小声で反論してみる俺
「…青酸でも飲むか?」
聞こえたんかい!?
て言うか俺死なす気ですか!?あんたは!!
「昨日は家帰ってオンラインしたらメンテナンス中で、それでさっさと風呂入って寝たんです」
実際はぶっ倒れた後の記憶が凄く希薄なのでどうとも言えない
母いわく「風呂入ってすぐ寝たよ、あんた」らしいんだが
て言うか晩御飯食べそこねてるのか俺…
「はぁ…」
なんですか先生、その溜息は
「メンテナンスは16時までよ阿呆」
ガビーン!
「そ、そうでしたか…」
公式サイト見るのも忘れてましたよ俺
「で、この埋め合わせは何時してくださるんですか?先輩」
「ジナさんが良い時でいいですよ俺は」
時奈先生はジナと言う名前のレイマールでGCからPSOを始めた人だ
俺と谷藤がPSOの話しをしていた時たまたま話しに加わって来て互いに知ったのがきっかけで、たまに一緒に潜ったりしている
でも先生が何故俺のことを先輩と呼ぶかは知らない
「今の所しばらくは無理みたいだね」
システム手帳を開いて言う時奈先生
う〜ん、悪いことしてしまったな
「すいません先生」
頭を下げる俺
「謝るだけ良い奴だね、アンタは」
こっちを向いてニヤッと笑う時奈先生
「頭あげな、ここに呼んだのはPSOの話だけじゃ無いんだ」
う゛、それって爆睡の事ですか?」
思わず嫌な声をだして頭を上げる俺
「その事をチャラにしてやるから言う事を聞きな」
今度はいかにも悪な笑いかたをする
怖ぇえです先生…
「なんですか?」
恐る恐る聞き返してみる
「何簡単ことだ、明日転校生が来るからソイツの面倒を見て欲しいだけさ」
椅子を回転させ、机の方を向いて言う時奈先生
「面倒って…俺が!?
面倒が面倒だ
イヤ、シャレじゃなくて
「嫌なら別に償ってもらおうか?」
また悪な笑い…
「た、例えば?」
なんで怖いのにあえて聞くかな俺も
「この部屋を掃除する、等」
この部屋って…まさか物理準備室(別名:時奈の悪城)を!?
プリントやら資料の本やら器材やら、軽く見積もっても半日かかっても終わらない量ですが…?
ってあれ?
「待ってください…等って」
「当然物理準備室だけで終わらせる訳がないだろう?」
悪魔や…あんた悪魔や!
「謹んで、転校生の面倒を見させて頂きます」
なんか…今の俺なら土下座も出来そうだよ
「宜しい宜しい、まぁ面倒見ろって言っても校内案内とかしてくれりゃいいから」
簡単に言いますな
「了解…」

その時、昼休みの終了を告げる鐘がなる

のわ!?
俺昼飯食べて無いんですけど?
「はいさっさと教室戻る〜」
手をひらひらとさせてこっちに顔も見せずに教室へ急ぐように言う時奈先生
あんさん授業ないんかい
失礼しましたッ
挨拶をして勢いよく物理準備室(別名:時奈の悪城)のドアを閉めて走る俺
ドアは静かに閉めろ賢士!
僅かな抵抗と言う奴ですよ時奈先生
「つうか次体育じゃねぇかよッ!」
物理準備室(別名:時奈の悪城)は一階
俺の教室は三階
体育館は別館二階
「(最善を尽くそう!俺!)」
絶対間に合わないのを覚悟しつつ全力でまずは教室を目指す俺なのでした


合掌