Story11 森2 相棒


森1

「ギルドからの報告聞いて来て見たら…」
ワイズの目の前には赤い光りのトランスポーターがある
「これがセントラルドーム近くに行けるトランスポーターか」
額に指を当ててしばし停止するワイズ
「好奇心に駆られて来たはいいがクエストも受けて無いし…」
ハンターズと遭遇したら怪しまれるかな、と不安を零してみる
「…まぁ…なるようになるか」
己の探求心が踏ん切りを決めてトランスポーターに身を投じる



森2

「こっちは雨降ってるのか…」
トランスポーターから出てすぐに空を見る俺
「冷たいな流石に…しかし」
フォーブ本星の雨よりは優しいとオレは思った
「それはそうと…」
視線を遠くの巨大健造物に向ける
「あれがセントラルドーム…」
爆発したって聞いたけど、遠くからではよく解らないな
「…俺の記憶は相変わらず不鮮明だしな」
我ながら役立たずな気がするぞ、俺の記憶
「いやま、ゲームとは違うんだろうけども」
しっかし独り言多いな俺
いやオレがか?
「…混乱して来た…」
俺はオレでオレは俺?
いやオレはオレで俺が俺?
膝を曲げ、頭を両手で押さえながら苦悩する俺
その時



完全に同時の2つ銃声がなり、2つ弾痕がワイズの足元に穿たれる
「なッ!?」
バックステップして追撃弾を回避しながらブレイパスを二丁取り出して両手それぞれに構え、弾の飛んで来た方向に向ける
誰だ!
返事は勿論無い
代わりに更なる銃弾がワイズに迫る
「にゃろ!」
瞬時に右目が金色に変わり
ラゾンデ!!
渦巻く雷を発生させてその銃弾達を消滅させると、ワイズは右目を元の深緑色に戻す
「(実体弾…ヤスミノコフシリーズ?)」
追撃の追撃が来る中、ヤスミノコフシリーズを愛用している仲間が二、三人頭をよぎる
「(この射撃間隔はヤスミノコフ9000Mでは無い、でも攻撃の線は二つ、ライフルタイプの3000Rや7000Vじゃ片手で扱い切れない…はず)」
消去法で仲間の誰かが一人残る
ヤスミノコフ2000Hを二丁で使うヒューキャストが
「だとしたらいきなり仕掛けてきたのも解るな」
苦笑しながらブレイパスのトリガーを交互に弾く
そのブレイパスのフォトン弾が森に消えて行く寸前、黒い影が空中に飛び上がる
「やっぱお前か!」
飛び上がった黒い影はヘルキャリバーを取り出して落下してくる
「ゼロ!!」
ブレイパスを二丁とも捨て、封印ノダチを取り出しながら本星で腐れ縁のように組んだ相棒の名前を叫んだ
「久しいな、ワイズ」
暢気に応えながらもヘルキャリバーを封印ノダチに叩き付けるゼロ
ぐッ
ゼロの斬撃に耐え切れず封印ノダチを手放すワイズ
「回避しないのか、鈍ったか?」
笑うように言うゼロ
「うっさいわ!」
ワイズがゼロの顔面に向けて右ハイキックを繰り出すが、左手で軽く受け止められる
「危ないな」
とゼロが言った時にワイズは左足でゼロの腹部を地面のように蹴り、右足を放させ低空で一回転して着地、近くに捨てて置いたブレイパスを一丁握りゼロに片膝をついた体制で銃口を向ける
「…やっぱ早いなゼロ」
「それなりにな」
しかしゼロは既にワイズの右横に立ちヤスミノコフ2000Hを二丁、ワイズの頭に向けていた
「また俺の負けかちくしょう」
ドサッと大の字で地面に寝転ぶワイズ
「何故アレを使わない?使わなければ負けるだけだぞ」
それを見てゼロはヘルキャリバーを仕舞いながら人が笑うように言う
「アレは卑怯臭いから使いたく無いんだよ疲れるし、つか模擬戦闘で使う気にならん」
形容しがたい表情で左を向きながら言うワイズ


ワイズの言う模擬戦闘とは、ワイズとゼロの間で決めた取り決め訓練みたいなもので
『サシで戦える状況で周辺に被害者がでないようならどちらからでも仕掛けて良し』
と言うやや常識はずれな訓練方法だった


「それよかお前もパイオニア2に乗ってたのな相棒」
「君もな相棒」


互いに相棒と呼び合ってるワイズとゼロだが、彼等は連絡を小まめに取り合ったりはしていない
それに互いに相手の素性や過去を殆ど知らなかったりする
ただ言いようも無く頼りになるから
それだけで相棒と呼び合っているのだ
…かと言って相手の事を全く詮索しない訳では無いのだが


「…君はなんで地表に降りてるんだ?」
ヤスミノコフ2000Hの片方の調子を見ながら聞くゼロ
「知的探究心…とか言ったら変か?」
起き上がりながら言ってみるワイズ
「変だな、君のキャラじゃない」
返答所要時間0.5秒
「断言ありがとう、少し凹んでいいかな?」
素で凹むワイズ
「その方が君らしいな」
はははと笑うゼロ
「俺らしさって何さ…」
頬に一筋の汗を流しながら言うワイズ
「凹むあたり」
返答所要時間0.2秒
「ってそれ遠回しに俺を陰気と言ってないか!?」
変に泣きながら絶叫するワイズ
「まぁ、気にするな」
同情するようにワイズの肩にポンと手置くゼロ
「で話を戻すが」
「俺が地表に居る理由か…」
少し考えて
「かなり気になる事があってね、今日はそれで降りてるのさ」
全部説明する訳にもいかないので無難に答えるワイズ
「かなり気になる事か」
ワイズの肩から手を下ろし、不満では無いが腑に落ちないと言う声のゼロ
「ゼロは?何で降りてるんだ?」
カウンターとばかりに聞き返す
「今日はクエストで降りたんだがどうも不完全燃焼でな、こっちには散歩がてら来てみたのさ」
片方のヤスミノコフ2000Hをアイテムボックスに仕舞いながら言う
「で俺見つけて模擬戦闘しかけた、と?」
呆れた顔で聞くワイズ
「この状況なら仕掛けても問題無かったろ?」
ワイズの方に首を傾げながら言うゼロ
「そーですね」
まるで気合い無しで返すワイズ
「負けたからといっていじけるなよ」
やや呆れた声でワイズの封印ノダチを拾いに歩き出すゼロ
「負けず嫌いでしてね、これでも」
そう言いながら手持ちのブレイパスを仕舞うワイズ
「で、これからどうするんだ?ワイズは」
封印ノダチを拾い上げるゼロ
「取り敢えず」
セントラルドーム近くまで行って見ると口を動かそうとしたその時、地面を割ってブーマやらジコブーマやらがワイズとゼロを多囲むようにく出現する
「…こいつら倒す?」
予定とは別に口を動かすワイズ
「まるで包囲網だな」
正直な感想を述べながら仕舞わなかった方のヤスミノコフ2000Hを左手で構えるゼロ
「あ゛」
急にワイズが変な声を吐く
「どうした?」
余りに変な相棒の声に思わず反応するゼロ
「俺のブレイパスがエネミーの足元に…ってあいつは」
ワイズのブレイパスの間近に居たエネミーは
トーロウ!!」「トーロウ!!
ブーマ系最高位の怪物だった
「ワイズ走れ、援護する」
ゼロがそう言いながら封印ノダチを右逆手で持ち上げる
「了解!」
ゼロのその動きを確認せず、最大速力で駆け出すワイズ
そして駆け出すワイズにやや遅れて
シッ!
ゼロが振りかぶって封印ノダチを槍投げのようにトーロウに投げつけ腹部に突き刺さす
ナイス!
その刺さった封印ノダチの鍔を走りの速力そのままに右手のみで握り振り抜いてトーロウを二たつに裂き、左手で地面にあったブレイパスを回収するワイズ
「さぁて」
ワイズは封印ノダチを右手に、回収したブレイパスを左手に
「ああ」
ゼロは再度取り出したヘルキャリバーを右手に、ヤスミノコフ2000Hを左手に
やりますか」「やるか
それぞれ構えてエネミーを掃除し始めた