Episode1. Prolorgue 繋がった世界


「ただいまー」
高校から帰って来て鍵を開け、玄関を勢いよく開けて帰ってきた挨拶をする。
しかし返事は無い、母は仕事だし妹も今は俺とは別の高校へ行ってる時間だからだ。
俺は靴を脱ぎそろえて、手早く手洗いうがいをすます。そしてリビングと対面式の台所へ行って昼ご飯になるものを探す。
「・・・」
冷蔵庫と飯釜を見るが何も入って無い。
「あー・・・買出し今日か」
それでも昼飯を諦め切れず台所を漁る俺。
そしてふとリビングのテーブルの上を見る。
「食パン発見!!」
誰も取りはしないのにダッシュでラスト一枚の食パンの袋を引っつかむ。
「うお・・・」
賞味期限が今日までだ
「まぁ今日までだし、賞味期限は目安だし」
などと自分に言い聞かせながらパンを半分千切って咥える。
残り半分はバター(これでバターもなくなった)を塗って電子レンジ(トースターモード)に放り込んだ。
本当は目玉焼き乗っけたいんだが今は玉子すらないからしょうがない。
「けーふるけーふる!(訳:ケーブルケーブル!)」
残り半分のパンが焼けるのを待たずに台所を出て、自室に走る俺。
そして今度は自室にあるGCのBBAに挿さっているLANケーブルを引っ掴んでリビングへ走りコネクタを挿し返る。
それとほぼ同時に残り半分のパンが焼きあがったと電子レンジのタイマーが鳴る。
「ふいふい!(訳:はいはい!)」
タイマーに返事をしながら咥えていた半分のパンを口の中に詰め込んで殆んど丸呑み状態で飲み込み、電子レンジから焼けた残り半分のパンを取り出す。
「熱ッ!」
焼けた残り半分のパンに苦戦しながら今度はゆっくりと自室へ戻る俺。
パンを食べ切り、ブレザーの制服から私服に着替えて、首にドックタグがかかっていることを確認する。
そして俺こと友空賢士は今日もGCの電源を入れる。目的はただ一つ、PSOをオンラインでやる為。
「今日は午前授業だからな」
こんな時間にオンラインに友達が居るか解からないが、テストのせいで暫くオンラインに行ってなかったせいであの空気が恋しくなっていた。
・・・我ながらPSO中毒者だと思う。
オープニングを久しぶりに見て、タイトルからロードゲーム、使用キャラ選択・・・もちろんWAIZU(ワイズ)を選択してオンラインに接続する。
「ん?」
接続中に流れる画面が長い。
「なんかしくった(訳:しくじった)かな?」
LANケーブルや他の配線を見るがなんら問題は見えない。
「・・・サーバーメンテナンスとか?」
TV画面に問いかける俺。一人だと必然的に独り言が多いな俺。
その時、画面から真っ白な光溢れだした。
「な、なんなん!?」
ホワイトアウト、そして俺の意識は飛んだ。


ツナがッテシマッた・・・


「そこのハンターさん、大丈夫か?」
声をかけられて意識が定着してくる。
「ハンター・・・?(俺私服だぞ?)」
しかしかけられた言葉に違和感を感じる。
「あ、どうもすいません大丈夫です」
とにかく声をかけてくれた通行人らしきおじさんにお礼を言う俺。
「??」
違和感、確かに違和感がある。でもその違和感が不思議とも思わない。
周りに目をやる。ここはパイオニア2の総督府。
「俺は総督に呼び出されてここにきたんだよな。・・・って!?」
ガバッと知らないはずなのに見知っている文字が流れるディスプレイに写った俺を見る。
「ワイズ!?」
自分の名前を大声で言う俺。
「俺ワイズ?俺賢士?」
錯乱する頭の中
俺はワイズになっていた